1日の抜け毛の平均本数は50本~100本とされ、その多くがシャンプー時に抜けるため、30本~50本という本数自体は正常な範囲である可能性が高いです。
しかし、本数だけでなく、以前より急に量が増えたり、細く短い毛が目立ったりする場合は注意が必要です。
ヘアサイクルが乱れているサインかもしれないため、抜け毛の「量」の変化と「質」の両方を確認することが大切です。
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- シャンプー時の抜け毛本数が正常範囲かどうかの目安
- 本数以外で判断すべき「危険な抜け毛」の見分け方
- 進行性の脱毛症(AGA・FAGA)をはじめとする抜け毛の主な原因
- セルフケアの限界と専門クリニックに相談する重要性
目次
シャンプー時の抜け毛が30本~50本は正常範囲か?
結論から申し上げますと、シャンプー時に30本から50本の髪が抜けること自体は、一概に「大丈夫」とも「危険」とも断言できません。
なぜなら、抜け毛の本数だけでは、それが正常な生理現象の範囲内なのか、あるいは何らかの対策が必要な薄毛のサインなのかを正確に判断することは難しいからです。
なぜシャンプー時に抜け毛が目立つのか
多くの方が「抜け毛が増えた」と感じるのが、シャンプーの時。
朝起きた時の枕元や、日中に服についている髪の毛よりも、シャンプー時の排水溝に溜まる髪の毛の量に驚くことが多いのではないでしょうか。
これには明確な理由があります。
ヘアサイクルの休止期に入った髪は、すでに毛根との結びつきが弱くなり、いつ抜けてもおかしくない状態にあります。
しかし、ブラッシングや少し頭を動かした程度では抜け落ちず、頭皮に留まっているケースも少なくありません。
シャンプーをする際には、以下のようないくつもの「髪を抜けやすくする要因」が重なります。
- お湯で髪と頭皮を濡らすことによる物理的な刺激
- シャンプー剤を泡立て、頭皮をマッサージするように洗う際の摩擦
- シャワーで泡を洗い流す際の水圧と刺激
これらの刺激によって、すでに抜け落ちる準備ができていた休止期の髪の毛が、一気に洗い流されるのです。
これが、シャンプー時に特に抜け毛が目立つ理由。
つまり、シャンプーが原因で健康な髪が抜けているわけではなく、「もともと抜ける運命にあった髪」がまとめて表面化しているに過ぎないのです。
1日の抜け毛の多くがシャンプー時に抜ける
一般的に、1日の抜け毛のうち、実に5割から7割がシャンプーと、その後のドライヤーの際に抜けると言われています。
仮に1日の抜け毛の総本数が80本だと仮定しましょう。
そのうちの6割がシャンプー時に抜けるとすると、約48本になります。
この計算で考えると、「シャンプー時の抜け毛が30本~50本」というのは、1日のトータルの抜け毛本数が正常範囲内に収まっている可能性が高いと言えるでしょう。
このように考えると、シャンプー時にある程度の本数が抜けること自体は、ごく自然なことなのです。
むしろ、抜け毛を気にするあまり、シャンプーの回数を減らしたり、頭皮を優しく洗いすぎたりすると、本来抜け落ちるべき休止期の髪が頭皮に残り、新しく生えてくる髪の成長を妨げたり、頭皮の衛生環境を悪化させたりする可能性すらあります。
本数だけで判断するのは早計
ただし、ここで安心してはいけません。
シャンプー時の抜け毛が30本~50本であっても、それが「大丈夫」と断言できないケースも存在します。
例えば、以下のような場合は注意が必要です。
- 以前はシャンプー時に10本~20本しか抜けなかったのに、ここ数ヶ月で急に30本~50本に増えた。
- シャンプー時以外にも、枕やデスク周りでの抜け毛が明らかに増えている。
- 抜けた髪の毛をよく見ると、細くて短い毛が多い。
重要なのは、ある一日の抜け毛の本数という「点」で判断するのではなく、一定期間における抜け毛の量の「変化」や、抜け毛の「質」という「線」で捉えることです。
今のあなたの抜け毛の本数が、ご自身の正常なヘアサイクルの中での変動なのか、それとも何らかの異常によって引き起こされているのか。
それを見極めるためには、本数以外のサインにも目を向ける必要があります。
抜け毛の基本的な仕組み「ヘアサイクル」とは?
シャンプー時の抜け毛の本数について考える際に、まずは私たちの髪の毛がどのように生え、そして抜けていくのか、基本的なメカニズムについて理解しておくことが重要です。
この髪の毛の一生のことを「ヘアサイクル(毛周期)」と呼びます。
髪の毛の一生:成長期・退行期・休止期
私たちの頭皮にある毛穴(毛包)は、それぞれが独立したサイクルで活動しており、すべての髪の毛が同じタイミングで生えたり抜けたりするわけではありません。
このヘアサイクルは、大きく分けて3つの期間で構成されています。
成長期(せいちょうき)
髪の毛が活発に成長する期間。
毛根の最も奥にある毛母細胞が細胞分裂を繰り返し、新しい髪の毛を作り出し、それを上へ上へと押し上げていきます。
この期間は非常に長く、男性で2年~5年、女性では4年~6年ほど続くとされています。
頭髪全体の約85%~90%が、この成長期にある状態。
この時期の髪は太く、長く、しっかりと根付いています。
退行期(たいこうき)
毛母細胞の分裂が急激に衰え、髪の毛の成長がストップする期間。
毛根が徐々に小さくなり、頭皮の浅い位置へと上昇していきます。
この期間は比較的短く、約2週間ほどです。
頭髪全体の中では、わずか1%程度がこの退行期にあたります。
休止期(きゅうしき)
髪の毛の成長が完全に止まり、毛根が活動を休止している期間。
この状態の髪の毛は、毛穴に浅く留まっているだけで、いつ抜けてもおかしくない状態にあります。
期間としては約3ヶ月~4ヶ月続きます。
そして、この休止期の終わりには、毛穴の奥で次の新しい髪の毛(新生毛)が作られ始めます。
この新しい髪の毛が成長して伸びてくることで、古い休止期の髪の毛が押し出されるようにして自然に抜け落ちるのです。
頭髪全体の約10%~15%が、この休止期の状態にあると言われています。
休止期に入った髪が抜けるのは自然な現象
このように、髪の毛が抜けること自体は、ヘアサイクルという生理的な仕組みの一部であり、決して異常なことではありません。
休止期を終えた髪が、新しく生えてくる髪に場所を譲るために抜け落ちる。
これは、いわば髪の新陳代謝であり、健康な頭皮でも毎日繰り返されている自然な現象なのです。
1日の抜け毛の平均本数は50本~100本
それでは、健康なヘアサイクルを維持している人の場合、1日に一体どれくらいの髪の毛が抜けるのでしょうか。
一般的に、1日の自然な抜け毛の本数は、平均して50本~100本程度であると言われています。
日本人の髪の毛の総本数は平均約10万本とされていますから、そのうちの10%~15%(約1万本~1万5千本)が休止期にあると計算できます。
この休止期の髪が3ヶ月~4ヶ月(約100日)かけて少しずつ抜けていくと考えると、1日あたり100本~150本が抜ける計算になりますが、季節による変動なども考慮し、一般的には50本~100本が目安とされているのです。
もちろん、これはあくまで平均値であり、髪の毛の総本数やヘアサイクルの長さには個人差があるため、抜け毛の本数にも個人差が生じます。
100本以上抜けていても問題ない人もいれば、50本でも注意が必要なケースもあるのです。
重要なのは、この50本~100本という数字は、あくまでヘアサイクルが正常に機能している場合の目安である、ということです。
注意すべき「危険な抜け毛」を見分ける7つのサイン
抜け毛の本数という数字だけでは、頭皮の健康状態を正しく把握することは困難。
ここでは、単なる生理現象としての抜け毛と、薄毛の進行などにつながる可能性のある「危険な抜け毛」とを見分けるための、7つの具体的なセルフチェックサインをご紹介します。
ご自身の状況と照らし合わせながら、確認してみてください。
1. 抜け毛の本数が急激に増加した
まず最も分かりやすいサインは、抜け毛の全体量が明らかに、そして持続的に増加することです。
- シャンプー時の抜け毛が、以前の2倍以上に増えた状態が1ヶ月以上続いている。
- シャンプー時だけでなく、朝起きた時の枕、部屋の床、洋服など、日常生活のあらゆる場面で抜け毛が目につくようになった。
- 1日の抜け毛を大まかに数えてみると、常に150本を超えている。
季節の変わり目(特に秋)は、一時的に抜け毛が増えることがありますが、それが一過性のものではなく、数ヶ月にわたって続く場合は注意が必要。
これは、ヘアサイクルの「休止期」にある髪の割合が、正常な範囲(10%~15%)を超えて増加している可能性を示唆しています。
2. 抜け毛の毛根の形が異常
抜けた髪の毛の「根元」、つまり毛根部分を観察することは、非常に重要なチェックポイント。
健康なヘアサイクルを終えて自然に抜けた髪の毛根には、ある特徴があります。
正常な抜け毛の毛根
根元がマッチ棒の頭のように、ふっくらと丸みを帯びています。
色は白っぽく、半透明な塊(毛根鞘:もうこんしょう)が付着していることが多いです。
これは、髪の毛が寿命を全うし、自然に抜け落ちた証拠です。
注意すべき抜け毛の毛根
- 毛根が細く尖っている、または毛根自体が見当たらない:髪が成長途中である「成長期」の段階で、何らかのダメージを受けて強制的に引き抜かれた可能性があります。
- 毛根の先端に、ベタついた皮脂の塊のようなものが付着している:頭皮の皮脂分泌が過剰で、毛穴が詰まっている(脂漏性脱毛症など)可能性があります。
- 毛根の形がいびつで、歪んでいる:毛根が萎縮しているサインかもしれません。これはAGA(男性型脱毛症)などで見られる特徴です。
ティッシュペーパーなどの白い紙の上に抜け毛を置き、毛根部分をじっくりと観察してみてください。
3. 細く短い抜け毛が増えた
抜け毛の「太さ」と「長さ」も、見逃してはならない重要なサイン。
排水溝に溜まった髪の毛をよく見てみましょう。
- 正常な抜け毛:ある程度の太さと長さがあり、ハリやコシが感じられる髪の毛がほとんどです。
- 注意すべき抜け毛:以前と比べて、明らかに細く、弱々しい髪の毛や、まだ十分に成長しきっていない短い産毛のような髪の毛の割合が増えてきた場合、それは危険なサインです。
これは「毛髪のミニチュア化(軟毛化)」と呼ばれる現象で、ヘアサイクルの「成長期」が短縮されていることを示しています。
本来であれば太く長く成長するはずの髪の毛が、十分に育つ前に「退行期」「休止期」へと移行してしまい、細く短いまま抜け落ちてしまうのです。
この現象は、特にAGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)の典型的な症状です。
4. 髪全体のボリュームが減少した
抜け毛の一本一本をチェックするだけでなく、髪全体の印象の変化にも注意を払いましょう。
- 髪をセットしても、以前のようにうまく決まらなくなった。
- 髪の分け目が、以前よりも地肌が透けて見えるようになった。
- 髪をかき上げた時に、地肌が目立つようになった気がする。
- 他人から「髪、薄くなった?」と指摘された。
これらの変化は、抜け毛の量が増えていることに加えて、一本一本の髪の毛が細くなっている(前述のミニチュア化)ことによって引き起こされます。
髪の総本数が同じでも、髪が細くなれば全体のボリュームは失われ、地肌が目立ちやすくなるのです。
5. 頭皮にかゆみやフケ、赤みがある
頭皮は髪の毛が育つ土壌。
この土壌の環境が悪化すれば、健康な髪は育ちません。
- 頭皮が乾燥して、細かいフケがよく出る。
- 頭皮がベタつき、湿った大きなフケが出る。
- 慢性的に頭皮にかゆみを感じる。
- 鏡で見ると、頭皮が赤みを帯びている部分がある。
- 頭皮に湿疹やニキビのようなものができやすい。
これらの症状は、頭皮の炎症(皮膚炎)を示しています。
頭皮に炎症が起きると、毛根にダメージが及び、ヘアサイクルが乱れて抜け毛が増える原因となります。
このような頭皮トラブルを伴う抜け毛は、単なる生理現象とは考えにくいです。
6. 特定の部位だけが薄くなる
抜け毛が頭部全体から均等に起こるのではなく、特定の部位に集中している場合も、進行性の脱毛症が疑われます。
- 男性の場合:生え際(特にM字部分)が後退してきた、頭頂部(つむじ周り)が薄くなってきた。
- 女性の場合:髪の分け目部分の地肌が帯状に目立つようになった、頭頂部全体の髪が少なくなりボリュームがなくなった。
このように、薄毛になるパターンに一定の傾向が見られる場合、それはAGAやFAGAの可能性が高いと言えます。
これらの脱毛症は、特定の部位に存在する男性ホルモンレセプターが原因で発症するため、薄毛の進行パターンに特徴が現れるのです。
7. 抜け毛以外の体調不良がある
髪の毛は、体全体の健康状態を映し出す鏡とも言えます。
そのため、抜け毛の増加が、何らかの全身性の疾患のサインである可能性も考慮する必要があります。
- 急激な体重の増減
- 常に体がだるい、疲れやすいといった倦怠感
- 動悸や息切れ
- むくみや冷え
- 女性の場合、月経不順
- 爪がもろくなる、割れやすくなる
これらの症状と共に抜け毛が増えている場合、自己判断で放置するのは危険。
甲状腺機能の異常や膠原病、貧血といった内科的な病気が隠れている可能性も考えられます。
もし、これら7つのサインのうち、一つでも当てはまるものがあれば、たとえシャンプー時の抜け毛が30本~50本という数字の範囲内であっても、一度専門家の視点から原因を特定することをお勧めします。
抜け毛が増加する主な原因
では、なぜ「危険な抜け毛」は起こってしまうのでしょうか。
その背景には、実に様々な原因が考えられます。
ここでは、抜け毛を引き起こす、あるいは増加させる可能性のある主な原因について解説します。
進行性の脱毛症:AGA(男性型脱毛症)とFAGA(女性男性型脱毛症)
成人男性の薄毛の悩みで最も多く、そして最も注意が必要なのがAGA(Androgenetic Alopecia:男性型脱毛症)。
これは、遺伝的な要因と、男性ホルモンの一種である「ジヒドロテストステロン(DHT)」が主な原因で発症する、進行性の脱毛症です。
DHTが毛根にある受容体と結合すると、髪の成長を阻害する信号が出され、ヘアサイクルの「成長期」が極端に短縮されます。
その結果、髪が太く長く成長する前に抜け落ちてしまい(毛髪のミニチュア化)、徐々に薄毛が進行していくのです。
一方、女性の場合も、男性ホルモンの影響などによって引き起こされるFAGA(Female Androgenetic Alopecia:女性男性型脱毛症)があります。
女性の場合は男性のように完全に禿げ上がることは稀ですが、頭頂部を中心に髪が全体的に薄くなり、地肌が透けて見えるようになるのが特徴です。
AGAもFAGAも、一度発症すると自然に治癒することはなく、放置すると症状はゆっくりと、しかし確実に進行していくという特徴があります。
ホルモンバランスの乱れ(産後、更年期など)
女性の場合、ライフステージの変化に伴うホルモンバランスの乱れが、抜け毛の大きな原因となることがあります。
- 産後脱毛症:妊娠中は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が増え、ヘアサイクルの成長期が維持されやすくなります。しかし、出産を終えるとホルモンバランスが急激に妊娠前の状態に戻るため、成長期を維持されていた髪が一斉に休止期に入り、産後2~3ヶ月頃から一時的に抜け毛が急増します。これは多くの場合、半年から1年程度で自然に回復します。
- 更年期:40代後半から50代にかけて閉経を迎える更年期には、女性ホルモンの分泌が減少し、相対的に男性ホルモンの影響が強まります。これにより、FAGAと似たようなメカニズムで髪が細くなったり、抜け毛が増えたりすることがあります。
過度なストレスによる影響
精神的なストレスや肉体的な疲労が過度に蓄積すると、自律神経のバランスが乱れます。
自律神経は、血管の収縮や拡張をコントロールしているため、バランスが乱れると頭皮の血行が悪化しやすくなります。
頭皮の血行不良は、髪の毛の成長に必要な栄養素や酸素が毛根に十分に行き渡らなくなることを意味します。
その結果、毛母細胞の働きが低下し、健康な髪が育ちにくくなり、抜け毛につながるのです。
また、強いストレスはホルモンバランスの乱れを引き起こすこともあります。
栄養バランスの偏り
髪の毛は、主に「ケラチン」というタンパク質から作られています。
そのため、過度なダイエットや偏った食生活によってタンパク質の摂取が不足すると、髪の材料が足りなくなり、細く弱い髪しか作れなくなります。
また、タンパク質だけでなく、ケラチンの合成を助ける亜鉛や、頭皮の健康を保つビタミン類(特にビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなど)も非常に重要。
これらの栄養素が不足すると、ヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増える原因となります。
睡眠不足などの生活習慣の乱れ
髪の毛の成長を促す「成長ホルモン」は、私たちが眠っている間、特に夜22時から深夜2時の間に最も活発に分泌されると言われています。
夜更かしや睡眠不足が続くと、この成長ホルモンの分泌が妨げられ、髪の成長に悪影響を及ぼします。
また、喫煙は血管を収縮させて血行を悪化させ、過度な飲酒はアルコールの分解のために体内のビタミンやミネラルを大量に消費するため、いずれも髪にとってはマイナスの要因となります。
牽引性脱毛症や円形脱毛症
- 牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう):ポニーテールやきついお団子ヘアなど、毎日同じ髪型で髪を強く引っ張り続けることで、毛根に継続的な負担がかかり、生え際や分け目部分の髪が抜けてしまう脱毛症です。
- 円形脱毛症(えんけいだつもうしょう):自己免疫疾患の一種と考えられており、免疫細胞が誤って自身の毛根を攻撃してしまうことで、ある日突然、円形や楕円形に髪が抜け落ちます。ストレスが引き金になることもありますが、原因は完全には解明されていません。
内科的疾患が原因の可能性
前章でも触れましたが、特定の病気が原因で抜け毛が起こることもあります。
代表的なものに、甲状腺機能の異常(甲状腺機能亢進症・低下症)があります。
甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝をコントロールしており、そのバランスが崩れることでヘアサイクルに影響が及び、脱毛を引き起こすことがあります。
その他にも、鉄欠乏性貧血や膠原病、特定の薬剤の副作用など、抜け毛の原因は多岐にわたります。
このように、抜け毛の原因は一つとは限らず、複数の要因が複雑に絡み合っているケースも少なくありません。
だからこそ、自己判断で「これは大丈夫」「これはストレスのせい」と決めつけてしまうのは非常に危険なのです。
注意すべきは進行性の脱毛症「AGA・FAGA」
数ある抜け毛の原因の中でも、もしあなたの抜け毛が「危険なサイン」を伴うものであった場合、最も可能性を考慮し、そして警戒すべきなのが「AGA(男性型脱毛症)」と「FAGA(女性男性型脱毛症)」です。
AGA・FAGAとは何か?
繰り返しますが、AGA・FAGAは遺伝やホルモンの影響を主な原因とする「進行性」の脱毛症。
風邪のように自然に治ったり、生活習慣の改善だけで完治したりすることは基本的にありません。
この脱毛症の最も厄介な点は、ゆっくりと、しかし着実に進行し続けることです。
「最近少し薄くなったかな?」と感じ始めてから、数年後には誰が見ても薄毛と分かる状態にまで進行してしまうケースも珍しくありません。
ヘアサイクルが乱れ、髪の毛が十分に成長しないまま抜け落ちる「毛髪のミニチュア化」が進行すると、毛穴そのものが徐々に小さくなり、やがて髪の毛を作り出す能力を完全に失ってしまいます(毛包の死滅)。
一度死滅してしまった毛包から、再び髪の毛が生えてくることはありません。
なぜ放置してはいけないのか?
AGA・FAGAを放置することの最大のリスクは、治療によって改善できる可能性のある髪の毛(まだ生きている毛包)を、時間と共に失ってしまうことにあります。
治療の開始が早ければ早いほど、まだ活力を残している毛包が多く存在するため、治療効果も現れやすく、改善の度合いも大きくなる傾向があります。
逆に、薄毛がかなり進行し、毛包の多くが死滅してしまった後から治療を始めても、満足のいく回復を得ることは難しくなってしまうのです。
つまり、AGA・FAGAにおいては、「気づいた時が、最も効果的な治療を開始できるタイミング」と言えます。
迷っている時間そのものが、回復の可能性を少しずつ狭めていっている、という厳しい現実を理解する必要があります。
セルフケアでの改善は困難
「まずは市販の育毛剤やシャンプーで様子を見よう」と考える方も多いかもしれません。
確かに、頭皮環境を整えるという意味で、これらのセルフケア製品が全く無意味というわけではありません。
しかし、AGA・FAGAの根本原因は、体内でのホルモンの働きかけによるものです。
そのため、頭皮の外側からケアする育毛剤やシャンプーだけで、進行を食い止めたり、発毛を促したりすることは極めて困難です。
市販の育毛剤(医薬部外品)に認められている効能・効果は、「育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛」といった範囲に限られており、「AGAの進行抑制」や「新たな発毛」を保証するものではありません。
根本的な原因にアプローチし、医学的根拠に基づいた対策を講じなければ、時間とお金を浪費してしまうだけで、薄毛は進行し続けてしまう可能性が高いのです。
シャンプー時の抜け毛が30本〜50本で不安な方は専門クリニックへの相談が解決の第一歩
シャンプー時の抜け毛の本数に始まり、危険な抜け毛のサイン、そしてその多様な原因について解説してきました。
ここまでお読みいただいたあなたは、ご自身の抜け毛に対して、以前よりも深い知識と、そして新たな視点を持てているはずです。
もし、少しでも「自分の抜け毛は危険なサインに当てはまるかもしれない」「AGAやFAGAの可能性があるかもしれない」と感じたのであれば、取るべき行動は一つです。
それは、一人で悩み続けることではなく、抜け毛・薄毛治療を専門とするクリニックに相談することです。
なぜ専門クリニックに相談すべきなのか?
専門クリニックへの相談を強くお勧めするのには、明確な理由があります。
- 正確な原因の特定:専門の医師は、問診、視診、触診、場合によってはマイクロスコープによる頭皮の診察や血液検査などを通じて、あなたの抜け毛の根本原因を医学的な観点から正確に診断します。それがAGA・FAGAなのか、頭皮の炎症なのか、あるいは他の疾患が隠れているのかを突き止めることが、適切な対策への第一歩です。自己判断による誤ったケアを続けるリスクを回避できます。
- 医学的根拠のある治療法の選択:クリニックでは、医師の診断に基づいて、あなたの症状や進行度、体質、そして希望に合わせた、医学的根拠(エビデンス)のある治療法を提案してくれます。これは、市販の製品では決して得られない、専門機関ならではの大きなメリットです。
- 心理的な安心感:「このまま薄毛が進行してしまったらどうしよう」という漠然とした不安を抱え続けることは、それ自体が大きなストレスとなり、抜け毛をさらに助長しかねません。専門家に相談し、現状を正しく把握し、具体的な対策を始めることで、その不安は「改善への期待」に変わります。この心理的な安心感は、治療を進める上で非常に重要です。
クリニックでは何をしてくれるのか?(カウンセリング、診断)
多くの専門クリニックでは、初回のカウンセリングを無料または低価格で実施しています。
まずはカウンセリングで、ご自身の悩みや不安を専門のカウンセラーや医師に伝えることから始まります。
その後、医師による診察が行われ、現在の頭皮や髪の状態がどのようなものなのか、そして抜け毛の原因は何である可能性が高いのか、といった診断が下されます。
この段階で、治療に進むかどうかを無理に決める必要はありません。
まずは専門家の意見を聞き、現状を客観的に知るだけでも、大きな価値があります。
主な治療法の選択肢(内服薬・外用薬・植毛)
もし診断の結果、AGAやFAGAなど、医学的な治療が推奨される場合、クリニックでは主に以下のような選択肢が提示されます。
- 内服薬治療:AGA・FAGAの進行を抑制する効果が認められている飲み薬を用いる治療法です。ヘアサイクルの乱れに内側からアプローチし、抜け毛を減らし、髪のハリやコシを改善する効果が期待できます。
- 外用薬治療:発毛を促進する効果が認められている塗り薬を、頭皮に直接塗布する治療法です。毛根に直接働きかけ、血行を促進し、髪の成長をサポートします。内服薬と併用されることも多いです。
- 植毛:薄毛がかなり進行してしまった場合や、内服薬・外用薬だけでは満足のいく効果が得られない場合の選択肢として、植毛があります。これは、後頭部など男性ホルモンの影響を受けにくい部位の自身の髪の毛を、毛根ごと薄毛の気になる部分に移植する外科的な手法です。移植した髪は、その場で生え変わり続けるという特徴があります。
これらの治療法には、それぞれメリット・デメリット、そして費用が存在します。
医師は、それらを丁寧に説明した上で、あなたにとって最適なプランを提案してくれるはずです。
大切なのは、自分一人で判断せず、信頼できる専門家と共に、解決への道筋を見つけることです。
まとめ:シャンプー時の抜け毛が30本〜50本は正常範囲内だがAGA・FAGAの前兆の可能性も
記事のポイントのまとめです。
今回は、シャンプー時の抜け毛が30本〜50本は大丈夫なのか、抜け毛の基本的なメカニズムから、危険なサインの見分け方、そして対策の重要性までを詳しく解説してきました。
最後に、この記事の要点を改めて確認しましょう。
- シャンプー時の抜け毛30本~50本は、1日の総抜け毛本数から見ると正常範囲内の可能性が高い。
- しかし、本数だけで判断するのは危険。抜け毛が急増していないか、細く短い毛が増えていないか、頭皮に異常はないかなど、総合的な視点でのチェックが不可欠。
- AGA・FAGAといった進行性の脱毛症が隠れている可能性があり、これらは放置すると進行する。
- セルフケアだけでAGA・FAGAの進行を止めることは困難であり、根本的な解決を目指すなら、医学的根拠に基づいた治療が必要。
抜け毛に関する少しでも不安や、進行性の脱毛症の疑いがあれば、一人で悩まずに、まずは専門のクリニックで無料カウンセリングを受けてみましょう。