髪が束で抜ける主な原因は、自己免疫疾患である「円形脱毛症」や、心身の強いストレスが引き金となる「休止期脱毛症」です。
また、ホルモンの影響によるAGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)、栄養不足、甲状腺などの病気が隠れている可能性もあります。
原因によって対処法が異なるため、まずは専門医に相談し、正確な診断を受けることが改善への第一歩となります。
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- 髪が束で抜ける場合に考えられる様々な原因
- 抜け毛を予防・改善するために自分でできる対策
- 専門の医療機関を受診すべき症状の目安
- 皮膚科や専門クリニックで受けられる治療法の種類
髪の毛の抜け毛が束で抜ける主な原因
髪が突然、束になって抜けるのはさまざまな原因が考えられます。
単なる生活習慣の乱れから、治療が必要な疾患まで多岐にわたるため、自己判断は禁物です。
ここでは、考えられる主な原因を一つひとつ詳しく見ていきましょう。
円形脱毛症
急に髪が束で抜ける症状で、最も代表的な原因の一つが円形脱毛症。
多くの人が「ストレスが原因で10円ハゲができる」というイメージを持っているかもしれませんが、実際はもっと複雑な疾患です。
円形脱毛症は、自己免疫疾患の一種と考えられています。
本来であれば外部の敵から体を守るはずの免疫システムに異常が生じ、成長期の毛包(毛根を包む組織)を異物と誤認して攻撃してしまうことで、突然毛髪が抜け落ちてしまいます。
症状の現れ方は人それぞれで、10円玉程度の脱毛斑が一つできる「単発型」から、複数できる「多発型」、頭部全体の髪が抜ける「全頭型」、さらには眉毛やまつ毛、体毛など全身の毛が抜ける「汎発型」まで、さまざまなタイプが存在します。
多くの場合、かゆみや痛みといった自覚症状はありません。
しかし、脱毛が始まる前に、頭皮に軽いかゆみや違和感を覚える人もいるようです。
原因としては、自己免疫疾患が根本にありますが、その引き金として精神的・肉体的ストレス、疲労、感染症、遺伝的要因などが関与していると考えられています。
もし円形や楕円形の脱毛斑を発見した場合は、速やかに皮膚科を受診することをおすすめします。
休止期脱毛症
私たちの髪の毛には「毛周期(ヘアサイクル)」というものがあり、「成長期」「退行期」「休止期」というサイクルを繰り返しています。
休止期脱毛症は、このサイクルが何らかの原因で乱れ、本来であればまだ成長期にあるべき髪の毛が一斉に休止期へと移行してしまうことで起こる脱毛症です。
休止期に入った髪は、約2~3ヶ月後に自然に抜け落ちます。
そのため、原因となる出来事から数ヶ月経ってから、急に抜け毛が増えたと感じることが特徴。
シャンプーやブラッシングの際に、ごっそりと髪が抜けるため、非常に驚かれる方が多いです。
休止期脱毛症は、さらに「急性」と「慢性」に分けられます。
- 急性休止期脱毛症:出産、高熱、大きな手術、過度なダイエット、精神的なショックなど、心身に大きな負担がかかった後に発症しやすいです。原因が取り除かれれば、通常は半年から1年ほどで自然に回復することが多いと言われています。特に「産後脱毛症」は、多くの女性が経験する急性休止期脱毛症の代表例です。
- 慢性休止期脱毛症:抜け毛が6ヶ月以上にわたって続く場合を指します。原因が特定しにくいことが多く、甲状腺疾患や栄養障害(特に鉄欠乏)、慢性的なストレス、特定の薬剤の長期服用などが背景にある可能性があります。びまん性(全体的)に髪が薄くなるため、女性の薄毛(FAGA)との見分けが難しい場合もあります。
牽引性(けんいんせい)脱毛症
牽引性脱毛症は、物理的な力が継続的にかかることで髪が抜けてしまう状態を指します。
毎日同じ場所で髪をきつく結ぶポニーテールや、エクステンション、きつい編み込みなどが主な原因です。
特定の部位の毛根に常に張力が加わることで、毛根が弱り、血行不良を引き起こして髪が抜けやすくなります。
生え際や分け目の部分の地肌が目立つようになるのが特徴です。
この脱毛症は、原因となっている髪型をやめれば改善することがほとんどです。
しかし、長期間にわたって毛根にダメージを与え続けると、毛根そのものが機能しなくなり、髪が生えてこなくなる可能性もあるため注意が必要。
心当たりのある方は、髪型を定期的に変えたり、髪をゆるく結んだりする工夫をしましょう。
脂漏性(しろうせい)脱毛症
脂漏性脱毛症は、頭皮の皮脂が過剰に分泌されることで引き起こされる脱毛症。
過剰な皮脂は、頭皮に存在する常在菌であるマラセチア菌を増殖させます。
このマラセチア菌が皮脂を分解する際に生み出す物質が、頭皮に炎症を引き起こし、「脂漏性皮膚炎」を発症させることがあります。
頭皮が炎症を起こすと、赤み、かゆみ、ベタついたフケなどが現れ、頭皮環境が悪化します。
この劣悪な環境が毛根にダメージを与え、健康な髪の成長を妨げ、結果として抜け毛の増加につながるのです。
皮脂の過剰分泌の原因としては、ホルモンバランスの乱れ、食生活の乱れ(脂っこいものや糖質の多い食事)、ビタミンB群の不足、ストレス、不適切なヘアケア(洗浄力の強すぎるシャンプーや洗い残し)などが挙げられます。
びまん性脱毛症
びまん性脱毛症は、特定の部位だけでなく、頭部全体の髪の毛が均等に薄くなる状態を指します。
特に女性に多く見られ、「女性男性型脱毛症(FAGA)」もこの一種に含まれることがあります。
束で抜けるというよりは、一本一本の髪が細くなったり(軟毛化)、全体のボリュームが減ったりすることで気づくことが多いです。
しかし、進行する過程で抜け毛の増加を自覚することもあります。
原因は一つではなく、加齢による女性ホルモンの減少、ストレス、栄養不足、血行不良、誤ったヘアケアなど、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
原因が多岐にわたるため、セルフケアと並行して、専門医による診断を受けることが改善への近道となります。
AGA(男性型脱毛症)
AGAは「Androgenetic Alopecia」の略で、成人男性に多く見られる進行性の脱毛症。
一般的には生え際の後退や頭頂部の薄毛が特徴ですが、進行の過程で全体の抜け毛が増え、「束で抜けている」と感じる方もいます。
主な原因は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、還元酵素「5αリダクターゼ」によって、より強力な「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されることです。
このDHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合すると、髪の成長期が短縮され、髪が太く長く成長する前に抜け落ちてしまいます。
AGAは遺伝的要因が大きく関与しているとされていますが、生活習慣の乱れやストレスが進行を早めることもあります。
放置すると薄毛は進行し続けるため、早期に専門クリニックで治療を開始することが非常に重要です。
内分泌系の疾患(甲状腺機能の異常など)
髪の毛の成長には、ホルモンのバランスが深く関わっています。
そのため、甲状腺ホルモンの異常など、内分泌系の疾患が原因で抜け毛が急増することがあります。
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモンの分泌が減少する病気です。全身の代謝が低下するため、髪の毛の成長も滞り、休止期脱毛症を引き起こしやすくなります。髪がパサつき、もろくなることも特徴です。抜け毛の他に、倦怠感、むくみ、体重増加、寒がりなどの症状が現れます。
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など):甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。新陳代謝が活発になりすぎることで、かえって毛周期が乱れ、脱毛を引き起こすことがあります。動悸、体重減少、多汗、手の震えなどの症状を伴います。
これらの疾患が疑われる場合は、まず内科や内分泌内科を受診し、原因疾患の治療を優先する必要があります。
薬剤の副作用
特定の医薬品の副作用として、脱毛が起こることが知られています。
代表的なのは抗がん剤ですが、他にも以下のような薬で脱毛が報告されています。
- 抗うつ薬
- 抗てんかん薬
- 血圧降下薬(β遮断薬など)
- 高脂血症治療薬
- 抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)
これらの薬は、毛周期に影響を与え、休止期脱毛症を引き起こすことがあります。
もちろん、自己判断で服用を中止するのは非常に危険。
薬による脱毛が疑われる場合は、必ず処方した医師に相談してください。
多くの場合、薬の変更や中止によって脱毛は改善します。
栄養不足・過度なダイエット
髪の毛は、私たちが食べたものから作られています。
そのため、極端な食事制限を伴う過度なダイエットや、偏った食生活による栄養不足は、髪の健康に深刻な影響を与えます。
髪の主成分は「ケラチン」というタンパク質。
タンパク質の摂取が不足すれば、当然ながら健康な髪は作られません。
また、タンパク質を髪に変える過程では、亜鉛や鉄分、ビタミン類といった栄養素が不可欠です。
- 亜鉛不足:髪の主成分であるケラチンの合成に必須のミネラルです。不足すると、髪の成長が阻害され、脱毛の原因となります。円形脱毛症との関連も指摘されています。
- 鉄分不足:特に女性に多い貧血(鉄欠乏性貧血)は、全身に酸素を運ぶヘモグロビンの材料となる鉄が不足する状態です。頭皮も酸素不足に陥り、毛母細胞の働きが低下して抜け毛につながります。
バランスの取れた食事は、健やかな髪を育むための基本中の基本と言えるでしょう。
髪の毛の抜け毛が束で抜ける場合の初期対応とセルフケア
髪が束で抜けるという事態に直面したとき、すぐにできることは何でしょうか。
もちろん専門医への相談が最善ですが、同時に日々の生活を見直すことも非常に重要。
ここでは、今日から始められるセルフケアについて具体的に解説します。
生活習慣の見直し
健康な髪を育む土台は、規則正しい生活習慣にあります。
特に「睡眠」「食事」「運動」の3つは、髪の健康と密接に関わっています。
質の高い睡眠を確保する
私たちの体は、睡眠中に成長ホルモンを分泌します。
この成長ホルモンは、細胞の修復や再生を促す働きがあり、頭皮の毛母細胞の分裂を活性化させ、髪の成長を助けます。
特に、入眠後最初の3時間(ノンレム睡眠の深い段階)に最も多く分泌されると言われています。
少なくとも6~7時間の睡眠時間を確保し、就寝前はスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスできる環境を整えることが大切です。
バランスの取れた食事を心がける
前述の通り、髪は栄養素から作られています。
特定の食品だけを食べるのではなく、多様な食材をバランス良く摂取することが重要です。
- タンパク質:髪の主成分。肉、魚、卵、大豆製品などを積極的に摂りましょう。
- 亜鉛:ケラチンの合成を助ける。牡蠣、レバー、牛肉、チーズなどに多く含まれます。
- 鉄分:頭皮への酸素供給に不可欠。レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじきなどがおすすめです。
- ビタミンA:頭皮の新陳代謝を促す。緑黄色野菜、うなぎ、レバーなど。
- ビタミンB群:皮脂の分泌をコントロールし、血行を促進する。豚肉、レバー、マグロ、納豆など。
- ビタミンC:コラーゲンの生成を助け、鉄分の吸収を高める。果物、野菜、いも類。
- ビタミンE:血行を促進し、抗酸化作用がある。ナッツ類、アボカド、植物油など。逆に、脂質の多い食事やインスタント食品、過度なアルコール摂取は、皮脂の過剰分泌や血行不良につながるため、控えるようにしましょう。
適度な運動を習慣にする
運動不足は、全身の血行不良を招きます。
頭皮の毛細血管は非常に細いため、血行不良の影響を受けやすい部位。
ウォーキングやジョギング、ヨガなどの有酸素運動を日常に取り入れることで、血流が改善し、頭皮の隅々まで栄養を届けることができます。
また、運動はストレス解消にも効果的であり、一石二鳥と言えるでしょう。
ストレス管理
過度なストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、血管を収縮させて血行不良を引き起こします。
これが、髪の成長を妨げ、抜け毛の引き金となることがあります。
現代社会でストレスを完全になくすことは困難ですが、上手に付き合っていく方法を見つけることが大切です。
- リラックスできる時間を作る:ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、アロマテラピーを楽しむ、好きな音楽を聴くなど、心からリラックスできる時間を意識的に作りましょう。
- 趣味に没頭する:仕事や悩みを忘れられるような趣味を持つことは、優れたストレス解消法です。
- 信頼できる人に話す:友人や家族など、信頼できる人に悩みを打ち明けるだけでも、心は軽くなるものです。
- 深呼吸や瞑想:自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
自分に合ったストレス解消法を見つけ、溜め込まないようにすることが、髪の健康を守ることにもつながります。
正しい頭皮ケアの方法
毎日のシャンプーは、頭皮環境を健やかに保つための基本。
しかし、間違った方法で行うと、かえって頭皮を傷つけ、抜け毛を悪化させる原因になりかねません。
シャンプー選びのポイント
洗浄力の強すぎるシャンプー(高級アルコール系など)は、頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥や過剰な皮脂分泌を招くことがあります。
頭皮が敏感になっている時期は、アミノ酸系やベタイン系など、マイルドな洗浄成分のシャンプーを選ぶのがおすすめです。
また、かゆみやフケが気になる場合は、有効成分が配合された薬用シャンプーを試してみるのも一つの方法です。
正しいシャンプーの手順
- 予洗い:シャンプーをつける前に、ぬるま湯(38℃程度)で1~2分かけて頭皮と髪をしっかりとすすぎます。これだけで、髪の汚れの7割程度は落ちると言われています。
- 泡立て:シャンプーを直接頭皮につけるのではなく、手のひらでしっかりと泡立ててから髪に乗せます。
- 洗う:爪を立てず、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗います。ゴシゴシと強くこするのは厳禁です。
- すすぎ:最も重要な工程です。シャンプーの成分が頭皮に残らないよう、洗い時間の2倍以上の時間をかけて、丁寧にすすぎましょう。特に、生え際や襟足はすすぎ残しが多い部分なので注意が必要です。
頭皮マッサージ
シャンプー中や、リラックスタイムに頭皮マッサージを行うのも効果的。
指の腹で頭皮全体を優しく動かすようにマッサージすることで、血行が促進され、頭皮が柔らかくなります。
ヘアスタイルの見直し
前述の牽引性脱毛症を防ぐため、髪に負担のかかるヘアスタイルは避けるようにしましょう。
- 毎日同じ分け目にしない
- ポニーテールやお団子ヘアは、長時間続けない、またはゆるめに結ぶ
- 重いヘアアクセサリーやエクステンションは避ける
- 定期的に髪を下ろして、頭皮を休ませる時間を作る
これらの小さな心がけが、未来の髪を守ることにつながります。
束で抜ける抜け毛で病院に行くべき目安
セルフケアは非常に重要ですが、髪が束で抜けるという症状は、何らかの疾患のサインである可能性も否定できません。
自己判断で様子を見ているうちに、症状が進行してしまうケースもあります。
以下のような場合は、できるだけ早く専門医に相談しましょう。
抜け毛以外の症状がある場合
抜け毛に加えて、以下のような症状が見られる場合は、皮膚疾患や内臓疾患の可能性があります。
- 頭皮に強いかゆみ、赤み、痛みがある
- ベタついたフケや、乾燥したフケが大量に出る
- 頭皮に湿疹やできものができている
- 全身の倦怠感、急激な体重の変化、動悸、むくみなど、体調全般に変化がある
これらの症状は、脂漏性皮膚炎や甲状腺機能の異常など、原因疾患の治療が必要なサインです。
1日に抜ける本数が異常に多い場合
健康な人でも、1日に50~100本程度の髪は自然に抜けています。
しかし、シャンプーやブラッシングの際に、明らかに以前とは比較にならないほどの量が抜けたり、枕に大量の髪がついていたりするなど、「1日に200本以上抜けている」と感じる状態が数週間以上続く場合は、注意が必要です。
正確な本数を数えるのは難しいですが、「明らかに異常」と感じる直感は大切にしてください。
円形や楕円形の脱毛斑が見られる場合
10円玉サイズであっても、はっきりと地肌が見える円形や楕円形の脱毛斑を発見した場合は、円形脱毛症の可能性が非常に高いです。
円形脱毛症は、自然に治ることもありますが、多発したり拡大したりすることもあります。
早期に治療を開始することで、回復を早め、重症化を防ぐことが期待できます。
急激な抜け毛が数週間以上続く場合
原因がはっきりしないにもかかわらず、急激な抜け毛が2~3週間以上続いている場合も、受診をおすすめします。
慢性休止期脱毛症や、その他の潜在的な原因が隠れている可能性があります。
専門医による問診や検査を通じて、原因を特定することが解決への第一歩となります。
どの診療科を受診すれば良い?
「病院に行くべきなのはわかったけれど、何科に行けばいいの?」と迷う方も多いでしょう。
症状や疑われる原因によって、適切な診療科は異なります。
皮膚科
まずは、最も一般的な選択肢として皮膚科が挙げられます。
髪の毛は皮膚の一部であるため、皮膚科医は髪と頭皮の専門家です。
円形脱毛症、脂漏性脱毛症、接触性皮膚炎など、頭皮の炎症を伴う疾患の診断・治療に適しています。
保険診療が基本となるため、比較的気軽に相談できるでしょう。
問診や視診、場合によっては血液検査などを行い、原因を診断してくれます。
美容皮膚科・薄毛治療専門クリニック
AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)など、進行性の薄毛が強く疑われる場合は、薄毛治療を専門とするクリニックがおすすめです。
これらのクリニックでは、より専門的な診断(マイクロスコープによる頭皮チェック、遺伝子検査など)や、保険診療では行えない最新の治療法(内服薬、外用薬、注入治療など)を受けることができます。
自由診療となるため費用は高くなりますが、薄毛治療に特化した豊富な知識と経験を持つ医師に相談できるのが最大のメリットです。
内科・婦人科
抜け毛の他に、全身の倦怠感や体重の変化、月経不順など、体全体の不調を感じる場合は、内科や婦人科の受診を検討しましょう。
甲状腺機能の異常や鉄欠乏性貧血、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、内科的な疾患やホルモンバランスの乱れが原因である可能性が考えられます。
まずはこちらで原因疾患の治療を行い、それでも抜け毛が改善しない場合に皮膚科や専門クリニックを受診するという流れも考えられます。
専門クリニックで受けられる主な治療法
セルフケアや保険診療での治療で改善が見られない場合や、AGA・FAGAが原因であると診断された場合、薄毛治療専門クリニックでの治療が有力な選択肢となります。
ここでは、代表的な治療法について、メリット・デメリットを含めて解説します。
AGA(男性型脱毛症)の治療法
AGAは進行性のため、治療の基本は「抜け毛の進行を止め(守り)」「発毛を促す(攻め)」という二つのアプローチになります。
内服薬(守りの治療)
- フィナステリド・デュタステリド:AGAの原因であるDHTの生成を抑制する薬です。抜け毛の進行を抑え、ヘアサイクルを正常化させる効果が期待できます。効果を実感するまでには、通常6ヶ月程度の継続服用が必要です。副作用として、ごく稀に性機能の低下や肝機能障害などが報告されています。医師の処方が必要な医薬品です。
外用薬(攻めの治療)
- ミノキシジル:もともとは血圧降下薬として開発された成分で、血管を拡張して頭皮の血流を改善し、毛母細胞を活性化させることで発毛を促します。日本で唯一、発毛効果が認められている一般用医薬品の成分でもあります。副作用として、使用初期の脱毛(初期脱毛)や、頭皮のかゆみ、かぶれなどが起こることがあります。
FAGA(女性男性型脱毛症)の治療法
女性の薄毛治療は、男性とは異なるアプローチが必要。
男性用の治療薬が使えない場合もあるため、必ず専門医の診断のもとで治療を進めましょう。
外用薬
- ミノキシジル:女性に対しても有効性が認められています。市販されている女性用の発毛剤は、ミノキシジルの濃度が1%のものが主流です。クリニックでは、より高濃度のものを処方してもらえる場合もあります。
内服薬
- スピロノラクトン:本来は利尿薬ですが、男性ホルモンの働きを抑制する作用があるため、FAGA治療に用いられることがあります。ただし、日本では薄毛治療薬としては未承認のため、医師の判断のもとで処方されます(適応外使用)。
- サプリメント:パントテン酸カルシウムやL-シスチン、ケラチンなど、髪の成長をサポートする成分を配合した医療機関専売のサプリメントが処方されることもあります。
円形脱毛症の治療法
円形脱毛症の治療は、脱毛範囲や進行度によって異なります。
皮膚科で受けられる保険診療が中心となります。
- ステロイド外用・局所注射:炎症を抑えるステロイドを、患部に塗布したり、直接注射したりする治療法です。脱毛範囲が狭い場合に有効とされています。
- 局所免疫療法:かぶれを引き起こす特殊な化学物質(SADBEやDPCP)を脱毛斑に塗り、意図的に軽い皮膚炎を起こさせることで、毛包への攻撃に向かっていた免疫反応の向きを変え、発毛を促す治療法です。脱毛範囲が広い場合に選択されます。
- 内服薬:脱毛が広範囲で急速に進行する場合、ステロイドの内服や、免疫の働きを抑えるJAK(ジャック)阻害薬などが用いられることがあります。
植毛(自毛植毛)
植毛は、内服薬や外用薬では十分な効果が得られなかった場合の、最終的な選択肢の一つです。
- 仕組み:AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の髪の毛を、毛包ごと採取し、薄毛が気になる部分に移植する外科手術です。自分の組織を使うため、拒絶反応が起こる心配はほとんどありません。
- メリット:移植した髪は、元の性質を保ったまま生え変わり続けるため、根本的な改善が期待でき、メンテナンスも基本的には不要です。
- デメリット:外科手術であるため、ダウンタイム(術後の回復期間)が必要です。費用が高額(数百万円単位になることも)であり、移植した髪がすべて生着するとは限らないというリスクもあります。
まとめ:髪の毛の抜け毛が束で抜ける場合は医師に診てもらおう
記事のポイントのまとめです。
髪の毛が突然、束で抜けるという現象は、大きな衝撃と不安をもたらします。
原因は、円形脱毛症や休止期脱毛症、さらには生活習慣の乱れや特定の疾患まで、実に様々な原因が考えられます。
改善が見られない場合や、円形の脱毛斑がある、体調にも異変があるといった場合は、決して一人で抱え込まず、勇気を出して専門の医療機関の扉を叩いてください。
皮膚科や薄毛治療専門クリニック、内科など、適切な場所で専門家の診断を受けることが、根本的な解決への最も確実な一歩となります。
特に、AGAやFAGAといった進行性の脱毛症は、早期発見・早期治療が何よりも重要。
現在は効果的な治療法が確立されており、早い段階で治療を開始することで、その進行を食い止め、健やかな髪を取り戻すことも十分に可能です。