抜け毛

櫛(くし)で髪をとかすと抜け毛がすごい…原因と対策方法を解説

    櫛に黒い髪の毛が絡まっている画像
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    質問:櫛で髪をとかす時、抜け毛が何本から危険な状態になりますか?
    回答

    1回のブラッシングで抜ける本数が10本から20本程度であれば、1日の正常な抜け毛の範囲内であるため心配いりません。

    しかし、ブラッシングの度に数十本単位でごっそりと抜ける状態が続く場合や、1日の合計がコンスタントに100本を超える場合は危険信号です。

    ご自身の平均的な本数と比較して明らかに急増した状態が続く場合は、ヘアサイクルに何らかの異常が起きているサインかもしれません。

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    当記事のここがポイント
    • 櫛でとかす際の正常な抜け毛の本数と危険なサインの見分け方
    • 間違ったヘアケアから進行性の脱毛症まで、抜け毛が増える多様な原因
    • 髪と頭皮への負担を減らす正しい櫛の選び方とブラッシング方法
    • セルフケアで改善しない場合に専門クリニックでの治療が必要となる基準

    目次

    櫛で髪をとかした際の抜け毛、何本からが危険信号?

    まず最も気になるのは、「一体、何本くらいの抜け毛なら心配いらないのか?」という点でしょう。

    抜け毛の本数だけで一喜一憂する前に、まずは正常な抜け毛と危険な抜け毛の違いについて、正しく理解することが重要です。

    櫛を使ったときの抜け毛本数の目安

    これは一概に「何本まで」と断言することは難しいのが実情。

    なぜなら、ブラッシングの頻度やタイミング、髪の長さや量によって大きく変動するためです。

    例えば、朝に一度しか髪をとかさない人と、朝晩2回とかす人では、1回あたりの抜け毛の本数は当然異なります。

    一つの目安として、1回のブラッシングで抜ける本数が10本~20本程度であれば、それは1日の正常な抜け毛(50本~100本)の範囲内である可能性が高いと言えるでしょう。

    毎日同じタイミングでブラッシングし、その際の抜け毛の量を観察することで、ご自身の平均的な本数を把握しておくのがおすすめです。

    また、季節の変わり目、特に秋口には抜け毛が増える傾向があります。

    これは、夏の間に浴びた紫外線のダメージや、動物の毛が生え変わるのと同じような周期的な体の変化が影響していると考えられています。

    一時的に抜け毛が増えたとしても、過度に心配しすぎる必要はありません。

    まず知っておきたい「正常な抜け毛」の本数

    私たちの髪の毛には、「ヘアサイクル(毛周期)」と呼ばれる生まれ変わりのサイクルがあります。

    このサイクルは、大きく分けて3つの期間で構成されています。

    1. 成長期(2年~6年):髪の毛が太く長く成長する期間です。全体の約85%~90%の髪がこの段階にあります。
    2. 退行期(約2週間):髪の毛の成長が止まり、毛根が徐々に小さくなる期間です。全体の約1%の髪がこの段階です。
    3. 休止期(約3ヶ月~4ヶ月):毛根が活動を完全に休止し、新しい髪の毛に押し出される形で自然に抜け落ちる準備をしている期間です。全体の約10%~15%の髪がこの段階にあります。

    このように、髪の毛は一定のサイクルを経て自然に抜け落ちるものであり、抜け毛そのものは病的な現象ではありません。

    一般的に、健康な人であっても1日に50本から100本程度の髪の毛が自然に抜けていると考えられています。

    この本数は、シャンプー時、就寝時、そしてブラッシング時など、1日の生活全体を通して抜ける本数の合計です。

    したがって、櫛に数本の毛がついていたとしても、それは休止期に入った髪の毛が予定通りに抜けただけである可能性が高いのです。

    「危険な抜け毛」を見分ける3つのチェックポイント

    本数だけでは判断が難しい「危険な抜け毛」。

    しかし、注意深く観察することで、そのサインを見分けることが可能。

    以下の3つのポイントに当てはまる場合は、単なる自然な抜け毛ではない可能性を考慮すべきです。

    チェックポイント1

    抜け毛の本数が明らかに急増した1日のトータルの抜け毛が、コンスタントに100本を超える、あるいは以前と比較して2倍、3倍になったと感じる場合は注意が必要。

    特に、ブラッシングのたびに数十本単位でごっそりと抜ける状態が続くようであれば、ヘアサイクルに何らかの異常が起きているサインかもしれません。

    チェックポイント2

    抜けた毛の状態に変化があるただ抜けた本数を数えるだけでなく、抜けた毛そのものの「質」を観察することが極めて重要です。

    • 細く短い毛、うぶ毛のような毛が多い:本来であれば太く長く成長するはずの「成長期」の髪が、十分に育たないまま抜けてしまっている可能性があります。これは、ヘアサイクルが短縮している代表的な兆候であり、進行性の脱毛症(AGA・FAGAなど)でよく見られる特徴です。
    • 毛根の形が通常と違う:健康な抜け毛の毛根は、マッチ棒の先のように少し丸く膨らんでいます。一方で、毛根がなかったり、先端が尖っていたり、皮脂のようなものが付着している場合は、切れ毛であったり、頭皮環境の悪化が原因であったりする可能性が考えられます。

    チェックポイント3

    以下のような頭皮トラブルが同時に起きている場合、抜け毛の原因が頭皮環境の悪化にある可能性が高まります。

    • 頭皮の赤み、かゆみ
    • フケの量が増える(乾燥したフケ、脂っぽいフケの両方)
    • 頭皮が脂っぽくベタつく
    • 頭皮が硬くなっている

    これらのチェックポイントに複数当てはまる場合は、櫛の使い方や種類といった問題だけでなく、より根本的な原因が隠れている可能性を疑うべきでしょう。

    なぜ櫛で髪をとかすと抜け毛が増えるのか?考えられる5つの原因

    櫛でとかすたびに抜け毛が目立つと、「櫛を使うこと自体が悪いのではないか」と考えてしまいがちです。

    しかし、多くの場合、櫛は単なるきっかけに過ぎず、その背景には様々な原因が潜んでいます。

    ここでは、櫛で抜け毛が増えると考えられる5つの主要な原因について掘り下げていきます。

    原因1:間違ったブラッシング方法による物理的ダメージ

    最も直接的で分かりやすい原因が、ブラッシングの方法そのものに問題があるケースです。

    髪の毛の表面は、うろこ状の「キューティクル」という組織で覆われています。

    このキューティクルは、髪の内部の水分やタンパク質を守る鎧のような役割を果たしています。

    しかし、非常にデリケートなため、間違ったブラッシングによる摩擦や圧力で簡単に剥がれたり、傷ついたりしてしまうのです。

    • 髪が絡まっているのに無理やりとかす:毛先の絡まりを無視して根元から一気に櫛を通すと、結び目に過度な力がかかり、髪が途中で切れたり(切れ毛)、毛根から無理やり引き抜かれたりします。
    • 髪が濡れた状態でとかす:髪は濡れるとキューティクルが開き、非常に無防備な状態になります。このタイミングで目の細かい櫛を使ったり、強い力でブラッシングしたりすると、キューティクルが剥がれ落ち、深刻なダメージにつながります。
    • 力を入れすぎる:頭皮に櫛を強く押し当ててゴシゴシとかす行為は、頭皮を傷つけ、炎症を引き起こす原因となります。健康な髪を育むべき土壌である頭皮を傷つけてしまっては、元も子もありません。

    このように、日々の何気ないブラッシングが、知らず知らずのうちに髪と頭皮を傷つけ、抜け毛を助長している可能性は十分に考えられます。

    原因2:櫛そのものが合っていない可能性

    毎日使う櫛が、あなたの髪質や頭皮の状態に合っていない場合も、抜け毛の一因となり得ます。

    櫛には様々な素材や形状があり、それぞれに特徴があります。

    櫛の素材

    • プラスチック製の櫛:安価で手に入りやすい一方で、静電気を発生させやすいという大きなデメリットがあります。静電気はキューティクルを逆立たせ、髪の絡まりや切れ毛の原因となります。また、製造過程で生じる微細な継ぎ目が髪に引っかかり、ダメージを与えることもあります。
    • 金属製の櫛:丈夫で長持ちしますが、素材が硬いため頭皮に当たった際に刺激が強く、傷つけてしまうリスクがあります。

    櫛の形状

    • 目の細かすぎる櫛:髪が太い人や量が多い人が目の細かい櫛を使うと、髪への抵抗が大きくなり、無理な力がかかってしまいます。
    • 先端が鋭利な櫛:櫛の歯の先端が尖っていると、頭皮を傷つけやすく、炎症やフケの原因になることがあります。

    これらのように、あなたの髪や頭皮にとっては不適切な櫛を使い続けることが、物理的なダメージを蓄積させ、結果として抜け毛につながっているケースは少なくありません。

    原因3:頭皮環境の悪化が抜け毛を誘発している

    櫛でとかした際の刺激は、いわば「引き金」です。

    その引き金で簡単に髪が抜けてしまうのは、髪が根付いている「頭皮」という土壌そのものが弱っているからかもしれません。

    健康な髪は、健康な頭皮から生まれます。

    しかし、何らかの理由で頭皮環境が悪化すると、毛根が髪をしっかりと支えきれなくなり、わずかな刺激でも抜けやすくなってしまうのです。

    • 皮脂の過剰分泌:頭皮の皮脂が多すぎると、毛穴を詰まらせ、炎症を引き起こす「脂漏性皮膚炎」につながることがあります。毛穴の周りが炎症を起こすと、髪の正常な成長が妨げられ、抜け毛が増加します。
    • 頭皮の乾燥:逆に頭皮が乾燥しすぎると、外部からの刺激に敏感になり、かゆみやフケが発生します。乾燥は頭皮のバリア機能を低下させ、健康な髪が育ちにくい環境を作ってしまいます。
    • 血行不良:頭皮の血行が悪くなると、髪の毛の成長に必要な栄養素が毛根まで届きにくくなります。栄養不足に陥った髪は、細く弱々しくなり、結果的に抜けやすくなります。

    このような悪化した頭皮環境にある髪は、いわば栄養不足で弱った木のようなものです。

    少しの風(ブラッシング)で簡単に倒れて(抜けて)しまうのは、ある意味で当然と言えるでしょう。

    原因4:すでに進行している脱毛症(AGA・FAGA)のサイン

    正しいブラッシングを心がけ、頭皮に優しい櫛を選んでもなお、櫛に絡みつく抜け毛、特に細く短い毛が減らない場合、それはより深刻な問題のサインである可能性を考慮しなければなりません。

    その代表が、AGA(男性型脱毛症)とFAGA(女性男性型脱毛症)です。

    AGA(男性型脱毛症)

    AGAは、男性ホルモンの一種である「テストステロン」が、頭皮に存在する「5αリダクターゼ」という酵素の働きによって、より強力な「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されることで発症します。

    このDHTが毛根の受容体と結びつくと、髪の成長期を著しく短縮させる信号が送られます。

    その結果、髪は太く長く成長する前に抜け落ちてしまい、徐々に細く短い毛が増えて薄毛が進行していくのです。

    FAGA(女性男性型脱毛症)

    女性の薄毛は、男性のAGAとは異なり、頭頂部を中心に髪の毛が全体的に薄くなる「びまん性脱毛症」が特徴。

    加齢による女性ホルモン(エストロゲン)の減少や、ホルモンバランスの乱れなどが主な原因と考えられています。

    女性ホルモンは髪の成長を促進し、ヘアサイクルを維持する働きがあるため、これが減少すると髪のハリやコシがなくなり、一本一本が細くなって抜け毛が増加します。

    AGAもFAGAも、初期段階では「最近、髪にボリュームがなくなった」「抜け毛が増えた」といった自覚症状から始まります。

    櫛で髪をとかした際に抜ける毛の中に、弱々しい細い毛が多く混じっている場合、それはこれらの進行性の脱毛症がすでに始まっている兆候なのかもしれません。

    原因5:生活習慣やストレスによるヘアサイクルの乱れ

    髪の毛は、体全体の健康状態を反映するバロメーターでもあります。

    不規則な生活習慣や過度なストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、ヘアサイクルに直接的な影響を及ぼします。

    • 睡眠不足:髪の成長を促す「成長ホルモン」は、主に睡眠中に分泌されます。睡眠時間が不足したり、睡眠の質が低下したりすると、成長ホルモンの分泌が減少し、髪の健やかな成長が妨げられます。
    • 栄養の偏り:髪の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。タンパク質はもちろん、その合成を助けるビタミンやミネラル(特に亜鉛)が不足すると、健康な髪を作ることができなくなります。過度なダイエットや偏った食生活は、抜け毛の大きな原因となります。
    • 精神的ストレス:強いストレスを感じると、体は緊張状態になり血管が収縮します。これにより頭皮の血行が悪化し、毛根への栄養供給が滞ります。また、ストレスはホルモンバランスを乱す原因にもなり、複合的に抜け毛を増加させることがあります。

    これらの要因によってヘアサイクルが乱れると、まだ成長途中にある髪が休止期へと移行しやすくなり、結果として抜け毛が増えてしまうのです。

    櫛でとかす行為は、そうして弱った髪を物理的に取り除いているに過ぎないのです。

    抜け毛を増やさないための正しい櫛の選び方と使い方

    抜け毛の原因が、櫛そのものや使い方にある場合、それらを見直すことで状況が改善する可能性があります。

    ここでは、髪と頭皮への負担を最小限に抑えるための、具体的な櫛の選び方と正しい使い方について解説します。

    これは治療ではありませんが、現状を悪化させないための重要な知識です。

    髪と頭皮に優しい櫛の選び方【素材・形状別】

    毎日使う道具だからこそ、櫛選びは慎重に行うべきです。

    素材や形状によって、髪や頭皮への影響は大きく異なります。

    素材で選ぶ

    • 天然毛のブラシ(猪毛・豚毛):適度な油分と水分を含む天然毛のブラシは、静電気が起きにくく、キューティクルを整えながら髪に自然なツヤを与えてくれます。猪毛は硬めで髪の量が多い方やしっかりとかしたい方に、豚毛は柔らかめで髪が細い方やダメージが気になる方におすすめです。頭皮へのマッサージ効果も期待できますが、動物性素材のため、アレルギーのある方は注意が必要です。
    • 木製の櫛・ブラシ:木製の道具も静電気が起きにくく、頭皮に優しいという特徴があります。特に「つげ櫛」は、椿油などを染み込ませて使うことで、髪をしっとりとまとめ、とかすたびに髪に栄養を与える効果も期待できると言われています。先端が丸く加工されているものを選ぶと、より頭皮への刺激を抑えられます。
    • 避けるべき素材:前述の通り、静電気を発生させやすい安価なプラスチック製の櫛は、髪のダメージを考えると積極的にはおすすめできません。もし使用する場合は、静電気防止加工が施されたものを選ぶと良いでしょう。

    形状で選ぶ

    • 目の粗さ:櫛の歯(ピン)の間隔は、ご自身の髪質や使う目的に合わせて選ぶことが大切です。
    • 目の粗い櫛(コーム):髪が濡れているときや、ブラッシングの前に大まかな絡まりをほどくのに適しています。髪への抵抗が少ないため、ダメージを最小限に抑えられます。
    • 目の細かい櫛:スタイリングをきれいに仕上げる際には便利ですが、日常的なブラッシングで使うと髪に負担がかかりやすいため、注意が必要です。
    • 先端の形状:櫛の歯やブラシのピンの先端は、必ず丸く加工されているものを選びましょう。先端が鋭利だと、頭皮を傷つけ、フケやかゆみ、炎症の原因となります。
    • クッション性:ブラシの場合、ピンの土台部分にクッション性がある「クッションブラシ」や「パドルブラシ」は、ブラッシングの際の圧力を吸収・分散してくれるため、頭皮への負担を和らげる効果があります。

    抜け毛・切れ毛を防ぐブラッシングの基本手順

    どんなに良い櫛を選んでも、使い方が間違っていては意味がありません。

    以下の手順を守るだけで、ブラッシングによる髪へのダメージは大幅に軽減できます。

    1. 手順1:まずは手ぐしで優しくほぐすいきなり櫛を入れるのではなく、まずはご自身の指を使って、毛先の方から優しく絡まりをほどいていきます。特に髪が長い方は、このひと手間が非常に重要です。
    2. 手順2:毛先から、徐々に根元へ櫛やブラシを入れる際も、まずは毛先からです。毛先の絡まりが取れたら、少しずつ上の部分へ移動し、最後に根元から毛先まで全体をとかします。この「毛先から」という原則を守るだけで、無理な力による切れ毛や抜け毛を劇的に減らすことができます。
    3. 手順3:髪が乾いた状態で行うのが基本前述の通り、髪が濡れているときは非常にデリケートです。基本的なブラッシングは、髪が完全に乾いている状態で行うようにしましょう。
    4. 【例外】濡れた髪をとかす場合どうしてもお風呂上がりなどに髪をとかしたい場合は、まずタオルで優しく水分を吸い取り、目の粗いコームやスケルトンブラシを使います。このとき、洗い流さないトリートメントなどをつけて髪の滑りを良くしてからとかすと、ダメージを最小限に抑えることが可能です。

    ブラッシングのタイミングと頻度|やりすぎは逆効果?

    ブラッシングは、ただ髪の絡まりを取るだけでなく、頭皮の皮脂を髪全体に行き渡らせて自然なツヤを出したり、頭皮に適度な刺激を与えて血行を促進したりする目的もあります。

    最適なタイミング

    • シャンプー前:乾いた髪をブラッシングすることで、髪の絡まりをほどき、シャンプー時の抜け毛を減らすことができます。また、頭皮の汚れやフケを浮き上がらせることで、シャンプーの洗浄効果を高める効果も期待できます。
    • 朝のスタイリング前:寝ぐせを直し、髪の流れを整えます。
    • 就寝前:1日の汚れやほこりを落とし、髪の絡まりをリセットすることで、就寝中の摩擦によるダメージを軽減します。

    頻度と注意点

    「頭皮の血行促進に良いから」と、1日に何度も過度にブラッシングするのは逆効果。

    やりすぎは頭皮への過剰な刺激となり、かえって皮脂の分泌を促したり、炎症を引き起こしたりする可能性があります。

    朝晩のケアと、必要に応じてもう1回程度、優しく行うのが適度な頻度と言えるでしょう。

    櫛での抜け毛が改善しない…それは専門的な治療が必要なサインかも

    ここまで、櫛での抜け毛を悪化させないための知識や方法について解説してきました。

    しかし、「櫛の選び方やとかし方を丁寧に見直したのに、一向に抜け毛が減らない」「むしろ、細く短い抜け毛が増えてきた気がする」という方もいらっしゃるかもしれません。

    その場合、あなたの抜け毛は、もはやヘアケアの範疇では解決できない、医学的なアプローチが必要な段階にある可能性が非常に高いと考えられます。

    正しいケアをしても抜け毛が減らない場合に考えられること

    適切なヘアケアは、あくまで「頭皮環境を健やかに保ち、髪への物理的ダメージを減らす」ためのものです。

    これは、いわば畑の土壌を整え、作物が育ちやすい環境を作る行為に似ています。

    しかし、もし作物の種そのものに、遺伝的・体質的な要因で「うまく育たない」という問題が内包されていたとしたら、いくら土壌を良くしても作物は十分に育ちません。

    これと同じように、抜け毛の原因がAGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)のような、ホルモンや遺伝的要因が絡む進行性の脱毛症である場合、ヘアケアだけでその進行を食い止め、改善させることは極めて困難。

    これらの脱毛症は、放置すれば症状は時間をかけて着実に進行していくという特徴があります。

    AGA・FAGAとは?

    ここで改めて、専門的な治療が必要となる代表的な脱毛症について確認しておきましょう。

    AGA(男性型脱毛症)

    前述の通り、AGAは男性ホルモン由来のDHT(ジヒドロテストステロン)が、髪の毛の成長サイクルを乱すことで発症します。

    DHTが毛根にある受容体と結合すると、髪の「成長期」が大幅に短縮されてしまいます。

    通常2~6年あるはずの成長期が、数ヶ月~1年程度に短くなってしまうのです。

    これにより、髪は太く長く育つ前に抜け落ち、だんだんと細く短い毛(軟毛)に置き換わっていきます。

    これが、生え際の後退や頭頂部の薄毛となって現れるのです。

    AGAは進行性のため、何もしなければ薄毛はゆっくりと、しかし確実に進んでいきます。

    FAGA(女性男性型脱毛症)

    女性の薄毛(FAGA)は、頭部全体の髪が均等に薄くなる「びまん性脱毛」が主な症状。

    加齢に伴う女性ホルモン「エストロゲン」の減少が大きな要因とされています。

    エストロゲンには、髪の成長期を維持し、髪を豊かに保つ働きがあります。

    閉経期前後になるとエストロゲンが急激に減少するため、相対的に男性ホルモンの影響が強まり、ヘアサイクルが乱れて抜け毛が増え、髪全体がボリュームダウンしてしまうのです。

    AGAもFAGAも、その根本原因は体内のホルモンバランスや遺伝的素因にあります。

    したがって、これらの症状を改善するためには、体の内側から作用する医学的根拠に基づいた治療が必要不可欠となるのです。

    専門クリニックで受けられる具体的な治療法

    抜け毛や薄毛の悩みを根本から解決したい場合、皮膚科や美容皮膚科、そしてAGA・FAGA治療を専門とするクリニックに相談することが最も確実な道。

    専門クリニックでは、医師の診断のもと、以下のような治療法が選択肢となります。

    AGA治療

    • 内服薬:フィナステリドやデュタステリドといった「5αリダクターゼ阻害薬」が中心となります。これらは、AGAの原因物質であるDHTの生成を抑制することで、ヘアサイクルの乱れを正常化し、抜け毛を減らして髪の成長を助ける効果が期待されます。
    • 外用薬:ミノキシジルが配合された塗り薬が用いられます。ミノキシジルには、頭皮の血行を促進し、毛母細胞を活性化させることで発毛を促す作用があると報告されています。

    FAGA治療

    • 外用薬:女性の場合も、ミノキシジル外用薬が治療の第一選択肢となることが多いです。
    • 内服薬:男性ホルモンの働きを抑制するスピロノラクトンや、髪の成長に必要な栄養素を補給するサプリメントなどが、医師の判断で処方されることがあります。

    植毛

    薬物治療で十分な効果が得られない場合や、より永続的な変化を望む場合には、「自毛植毛」という選択肢もあります。

    これは、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の自分自身の毛髪を、毛根の組織ごと薄毛の気になる部分に移植する外科的な手術。

    移植した髪は、その後も自身の髪として生え変わり続けるため、非常に効果の高い治療法とされています。

    これらの治療法には、それぞれメリットだけでなく、副作用のリスクや費用の問題といったデメリットも存在します。

    専門クリニックでは、医師があなたの症状や体質、希望を総合的に判断し、最適な治療プランを提案してくれます。

    自己判断で海外製の医薬品などを個人輸入する行為は、健康被害のリスクが非常に高いため、絶対に避けるべきです。

    まとめ:櫛での抜け毛が改善しない場合は専門クリニックで相談を

    記事のポイントのまとめです。

    櫛で髪をとかす際の抜け毛は、多くの方が経験する自然な現象の一部。

    1日に50本から100本という正常な範囲内であれば、過度に心配する必要はありません。

    しかし、その抜け毛が「危険なサイン」である可能性も常に念頭に置くべきです。

    抜ける本数の急増や、細く短い毛の割合の増加は、単なるヘアケアの問題ではなく、AGAやFAGAといった進行性の脱毛症が原因の場合もあります。

    正しい櫛を選び、優しいブラッシングを心がけることは、髪と頭皮の健康を保つ上で非常に重要。

    しかし、それはあくまで現状を悪化させないための「守りのケア」に過ぎません。

    もし、あなたの抜け毛が、これらの対策を講じても改善の兆しを見せないのなら、専門的な医療の力を借りるべき時が来たという、体からのメッセージなのかもしれません。

    AGAやFAGAの治療は、日進月歩で進化しています。

    早期に治療を開始することで、その進行を食い止め、髪の状態を改善させることは十分に可能。

    自己判断で悩み続け、貴重な時間を失う前に、まずは専門のクリニックで相談するようにしましょう。